ガルシアの隠れ家 by grass-b |
A君13歳。
彼の絵はどれも大好き。 最近描いたのは蛍。 闇に沈んだ色の樹を背景に点々と瞬いている光。 その光は音の描写のよう。 静けさが聞こえてくるようだ。 夜のとばりに包まれて彼は泣いた。 大泣き。 抱えていた諸々の想いがゆるく拡散していったのだろうか。 感動のなんとまっすぐなことか。 by 店主 ♀ #
by grass-b
| 2017-06-19 13:25
夕方の店内。 ファインダーを覗きながら「暗くなってきたら見えなかったものが見えてきた」 とひとりごと。 無意識の深いひとなのだろう。 なにげないひとことひとことがこちらのツボなのだ。 彼女はヒヨリブロートというパン屋のひとり親方。 月の暦ではたらいています。 新月~満月と、満月から5日間。 月の満ち欠けもパンの発酵に影響があるのだろうか。 覚書き 穏やかな湖面に白い丸皿となって漂い、寝静まった家屋の屋根を密やかに照らすあの月だ。 満ち潮をひたむきに砂浜に寄せ、獣たちの毛を柔らかく光らせ、夜の旅人を包み護るあの月だ。 ときには鋭利な三日月となって魂の皮膚を削ぎ、新月となって暗い孤独のしずくを地表に音もなく滴らせるあのいつもの月だ。 村上春樹 ある本の一文より
by 店主 ♀ #
by grass-b
| 2017-03-31 15:49
すすきと蔦に蝉の抜け殻が残っていた。 すすきの葉ごと、蔦の枝ごと瓶にさして飾る。 姿を消したものが後にのこしてゆくもの。 抜け殻のなかの記憶。 りょうこさんは虫が苦手。 でもお子さんのこころちゃんにはないしょ。 虫を見ると内心は「きゃ~」なのに「かわいいねー』と言っていた。 こころちゃんが虫に対して「きゃ~」という女の子になってほしくないから。 今やこころちゃんは虫が大好き。 彼女の宝物は大きな瓶にいっぱいの蝉の抜け殻。 by 店主 ♀ #
by grass-b
| 2016-07-29 07:44
築地へ。 場外の喧噪を抜け場内へ入るとひんやりと湿った空気が流れていた。 人々の通り道なんだけど異界への入り口にもなっているような。 黒い服の裾をひるがえし前をゆくrikaちゃんは異界へと導く巫女か。 迷路のような通路をあちこち寄り道しながら穴子の店をめざしてゆく。 キョロキョロしていると迷子になりそう。 山から降りて来た目にさまざまな食材の溢れる市場は日常から逸脱した夢の空間。 築地から歩いてrikaちゃん宅へ到着。 ドアを開けると川のほうから心地ちよい風。 迎えてくれたtakuyaさんにちょっと照れる。 久し振りに会った人がいい年の重ねかたをしているのは嬉しいものだ。 「ほら、遊覧船」と言われてベランダへ。 下の川をゆっくりと滑るようにゆく遊覧船を眺めながらビールを頂く。 おしゃべりをしている間にキッチンからいいにおいがこぼれはじめる。 お昼ごはん。 ○ 穴子と実山椒(実山椒は一粒づつ枝を外して作ったもの) ○ かぶ塩もみ ○ きゅうり塩もみ ○ 汲み湯葉(塩とオリーブオイルで) ○ 茶碗蒸し(鳥と銀杏) ○ 穴子飯(錦糸卵をたっぷりのせて) ○ 瓜粕漬け ○ ヨーグルトのジェラード(レモンの香りが爽やかなtakuyaさんお手製) ※ 夫へのお土産に穴子飯のお弁当 おいしいものを頂くと細胞が緩む。 体って正直。 そしてやはり食の向こうに見えるのは人だ。 彼女からおいしいものが生まれるのは必然。 横浜の「巡礼展」へ。 ギャラリーの入り口から薄暗い隙間のような通路を抜けて展示会場へ。 そこは時間の流れかたが外と違っているように感じられた。 感覚にフレームをもうけずに見る。 形として託されたほうが伝わることがあるんだなぁ。 薄紙の作品を光に透かすときれいで何度もかざして眺めた。 少し遅れてchiekoさんが涼しげな装いで到着。 またお会いできて嬉しかった。 by 店主 ♀ #
by grass-b
| 2016-06-09 15:54
Fさま また桑の実の季節になりました。 テラスも店の床も紫色の染みだらけ。 そうでしたか・・。 誰も明日のことはわかりません。 でもこうしてお葉書が届いたということはだいぶ快復されたのですね。 この時期は閉店後でも明るくて日没前のなんともいえない美しさがあります。 静けさにつつまれ今日も無事に終わったとほっとするひととき。 明日も同じように一日の終わりを迎えられることを願って。 どうぞおだいじに。 Sさん お帰りなさい。 始めての感覚がなく、懐かしさを覚えたとのこと。 それは・・遠い時間が体に入って柔らかな魂と共振したのでしょう。 by 店主 ♀ #
by grass-b
| 2016-05-30 06:59
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