ガルシアの隠れ家 by grass-b |
チーズケーキで忘れられないのは六本木にあったユダヤ人のおばあさんが
やっていた「コーシャ」という店のチーズケーキ。 グレーがかった白いそれをカットすると柔らかくひび割れてどろりと崩れんばかり。 濃厚で熟成された隠微な味わい。 あの味を再現したいと長い間試行錯誤を繰り返してきたけれど、 いまや私の記憶の中でファンタジーとなりつつあります。 記憶というのは時間の経過やこころのかたちにしたがって ゆっくりと変わっていくものなのかもしれません。 いまはもう食べることはかなわないという存在感。 コーシャの店の壁に掲げてあった彼女の着物姿の写真を思い出す。 小首をかしげたチャーミングな笑顔の下に「わたしはコーシャ」と書いてあったっけ。 すべて淡い記憶の中に溶けてなくなってゆく感じ。 そう、コーシャはコーシャの、私は私のチーズケーキ。 by 店主♀
by grass-b
| 2010-07-27 17:23
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