ガルシアの隠れ家
by grass-b
抜け殻

すすきと蔦に蝉の抜け殻が残っていた。

すすきの葉ごと、蔦の枝ごと瓶にさして飾る。

姿を消したものが後にのこしてゆくもの。

抜け殻のなかの記憶。


りょうこさんは虫が苦手。

でもお子さんのこころちゃんにはないしょ。

虫を見ると内心は「きゃ~」なのに「かわいいねー』と言っていた。

こころちゃんが虫に対して「きゃ~」という女の子になってほしくないから。

今やこころちゃんは虫が大好き。

彼女の宝物は大きな瓶にいっぱいの蝉の抜け殻。


by 店主 














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# by grass-b | 2016-07-29 07:44
rikaちゃんと
築地へ。
場外の喧噪を抜け場内へ入るとひんやりと湿った空気が流れていた。
人々の通り道なんだけど異界への入り口にもなっているような。
黒い服の裾をひるがえし前をゆくrikaちゃんは異界へと導く巫女か。
迷路のような通路をあちこち寄り道しながら穴子の店をめざしてゆく。
キョロキョロしていると迷子になりそう。
山から降りて来た目にさまざまな食材の溢れる市場は日常から逸脱した夢の空間。

築地から歩いてrikaちゃん宅へ到着。
ドアを開けると川のほうから心地ちよい風。
迎えてくれたtakuyaさんにちょっと照れる。
久し振りに会った人がいい年の重ねかたをしているのは嬉しいものだ。
「ほら、遊覧船」と言われてベランダへ。
下の川をゆっくりと滑るようにゆく遊覧船を眺めながらビールを頂く。
おしゃべりをしている間にキッチンからいいにおいがこぼれはじめる。

お昼ごはん。
○ 穴子と実山椒(実山椒は一粒づつ枝を外して作ったもの)
○ かぶ塩もみ
○ きゅうり塩もみ
○ 汲み湯葉(塩とオリーブオイルで)
○ 茶碗蒸し(鳥と銀杏)
○ 穴子飯(錦糸卵をたっぷりのせて)
○ 瓜粕漬け
○ ヨーグルトのジェラード(レモンの香りが爽やかなtakuyaさんお手製)
※ 夫へのお土産に穴子飯のお弁当

おいしいものを頂くと細胞が緩む。
体って正直。
そしてやはり食の向こうに見えるのは人だ。
彼女からおいしいものが生まれるのは必然。

横浜の「巡礼展」へ。
ギャラリーの入り口から薄暗い隙間のような通路を抜けて展示会場へ。
そこは時間の流れかたが外と違っているように感じられた。
感覚にフレームをもうけずに見る。
形として託されたほうが伝わることがあるんだなぁ。
薄紙の作品を光に透かすときれいで何度もかざして眺めた。
少し遅れてchiekoさんが涼しげな装いで到着。
またお会いできて嬉しかった。


     by 店主 ♀

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# by grass-b | 2016-06-09 15:54
お便りに
Fさま

また桑の実の季節になりました。
テラスも店の床も紫色の染みだらけ。

そうでしたか・・。
誰も明日のことはわかりません。
でもこうしてお葉書が届いたということはだいぶ快復されたのですね。
この時期は閉店後でも明るくて日没前のなんともいえない美しさがあります。
静けさにつつまれ今日も無事に終わったとほっとするひととき。
明日も同じように一日の終わりを迎えられることを願って。
どうぞおだいじに。


Sさん

お帰りなさい。

始めての感覚がなく、懐かしさを覚えたとのこと。
それは・・遠い時間が体に入って柔らかな魂と共振したのでしょう。


      by 店主 ♀

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# by grass-b | 2016-05-30 06:59
楽園
朝坂道を降りて行くと自称猫屋敷のO婦人がぼんやりと家の前に佇んでいた。
彼女はいつもだと別荘地のノラ猫達に餌を与えに行ってる時間だ。
「あなたはどちらさまか分かりませんが一昨日主人が亡くなったんです」と言う。
昔ご主人と店にいらしたこともあるのだが私のことは覚えていないようだ。

後日ご焼香に伺う。
庭には丈の低いすももの木が四方八方に枝を広げて満開の白い花をつけていた。
入り口の手すりにもたれて、花の下にしゃがんでいるO婦人と猫の姿にしばし見とれる。
夢のような光景。
楽園という言葉が浮かぶ。
家の中はダイニングテーブルの下に電気マットが敷かれ猫達がてんこもりになって寝ていた。
猫の山。
「主人は私のことが好きで好きで」やつれは見えるが横顔が美しい。
新しくできた海辺の病院で亡くなったそうで臨終の言葉は「にしんはきてるか」
さばとらの猫が仏間に入ってくる。
あるかないかの両耳がかわいい。
「この子は冬に2週間家をあけて戻ってきたら耳が凍傷になってて、ある日ここにポロポロと耳の先っぽが落ちてたの」と、畳を指差す。
陽が傾いてきたのでおいとますることに。
言葉が追いかけてくる。
「主人は私のことが好きで好きで・・・あら、私さっきと同じことを言ってます?」
窓の外を埋め尽くすかのような白い花。

    by 店主 ♀

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# by grass-b | 2016-04-04 08:56
日毎オープン!
日毎オープン!!

隣り村ならぬ隣り山、といってもご近所の友人Rちゃんがカフェをオープン。→
満を持してという言葉がぴったり。
県道から私道を上がると緑に包まれた空間にすっきりとした佇まいの店があります。
この辺りでは珍しい本格的な南インドカレーや、体に優しいワンプレートランチ、和を取り入れたスイーツなど。
こだわりのメニューやそこかしこにさりげなく置かれた小物にいたるまで彼女らしさが感じられて素敵。
基本的には一人でやっていますので時間に余裕を持って行かれることをおすすめします。

    by 店主  ♀

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# by grass-b | 2016-03-12 15:42
作品と釘と
Oさんが友人と来店。
四角い包みを渡される。
開けると去年ギャラリーで印象に残っていた作品。
風雨にさらされ風格を漂わせた四角い板。
そこに凛とした白い十字架が描かれ、なにかとめてある。
それは砂と波に洗われたシュモク貝。
苦悩によじれたかに見える形はキリスト像そのもので怖いぐらい。
物に宿る記憶が存在感となってせまってくる。

昔ベルギーの学生達とメルク修道院の改修工事に参加した。
修道院が世界遺産に登録されるずっと以前のこと。
その現場で拾い集めた古い釘は300年ほど前のもの。
Oさんはそれを白い紙の上にどんどん並べてゆく。
それぞれ形の異なった釘がリズムを持って詩のようだ。
「これはOさんが持っていたほうがいいでしょう」と差し上げる。

    by ♀
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# by grass-b | 2016-03-07 16:25
シルヴィ・ギエム
シルヴィ・ギエム現役最後の公演。

チケットは夫と離れた席だったけど取れただけでも夢のよう。
ギエムのバレエは軽やかで、やわらかく、切り詰められた動きのエッセンス。
鞭の一振りのような鮮やかな動きが止まったかと思うと躍動する。
四肢の動きに合わせてまとわりついたり離れたりする空気の重さや軽さ。
ひとつの世界を閉じる人の私にとってこの日かぎりの踊りを心に刻む。
確かなものを見たあとの清々しい余韻に満たされて深夜の道を帰った。

    by ♀



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# by grass-b | 2015-12-31 19:47
Wall and piece
グラフィティ・アーチスト(ストリート・アート)バンクシーの壁に描かれた絵の画集。
なかでもイスラエルとパレスチナの分断壁シリーズはびっくり。
ニューヨークのメトロポリタン美術館や大英博物館でのインスタレーションもとにかくおもしろい。
表紙には覆面のテロリストらしい若者が何かを投げようとしている姿。
投げようとしているのは手榴弾・・と思いきや裏表紙に伸びた手に握られているのは花束なのだ。
ウイットに富んだメッセージには共感できる。

こちらも。

八十のテロリストということやあるひとつの憤怒やりすごしつつ
                              坪野哲久

哲久81歳最晩年の作品。
奔放で気持ちいいほど。

 by  店主♀

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# by grass-b | 2015-06-18 05:05
レース
白いレースのハンカチを頂いた。
手を拭くのにはもったいなくて大切にしている器の間にそっと挟む。
レースは編んだ糸を見ているのではなく小さな隙間を模様として見ているのだとなにかで読んだ記憶がある。
そこにないものを見ている。
ないものを見て美しいと感じているのだと。

Aさんは80代のおしゃれなご婦人。
何年も前のこと、襟元にアンティークの小さなレースを銀のピンでとめていらした。
以来レースの店があるとつい覗いてしまう。
でも気づいたのはピンが肝心ということ。
あのしぶい輝きのピンでとめてこそだったような気がするのだ。


       by 店主 ♀
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# by grass-b | 2015-05-31 12:39
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